★お気楽日記★

アリとキリギリスでは断然キリギリスです。 うさぎとかめなら、確実にうさぎです。 でも跳ねる趣味はありません。

「スリル・ミー」2021観劇レポ

演じるのは「私」と「彼」の二人だけ(プラス、ピアノ伴奏)、実際に1924年アメリカで起きた犯罪を元に作られたミュージカル、「スリルミー」の、3ペアを観てきました★

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スリルミー、全ペア観たいと思いつつ、会場サイズをちゃんとチェックしないで先に販売された4月のお芝居のチケットを取ってしまって、自分が行ける日が少なくなってからのチケ取りだったから大変でした!

特に成河×福士ペア!

(補助席販売でなんとか押さえた。そして補助席が一番席が良かった)

 

2021/4/8に、今回オーディションで選ばれた新ペアの松岡広大(私)×山崎大輝(彼)を、

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(収録が入りました)

(ところでこの日LA席だったのですが、普通に座ると正面に見えるのは客席で、舞台は横なんですけど、首が痛くなりました。なんでそんな設計にした?)

 

2021/4/10に、初演ペアの田代万里生(私)×新納慎也(彼)を、

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2021/4/15に、成河(私)×福士誠治(彼)を観てきました。

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(補助席2番、ものすごく居心地良かったです。ぽつねんと扉横だから、周囲に人がいないし、荷物は脇に置き放題だし、後ろが壁だから、背後の人の視界を気にせずいくらでも座っているポーズ変えられるし(なんなら立てる)、斜めに座ろうが首を回そうが人目が気にならない! あとトイレも近い)

 

 

<ストーリー>(公式サイトより転載)

監獄の仮釈放審議委員会。
収監者“私”の五回目の仮釈審議が進行中である。
34年前、“私”と“彼”が犯した犯罪。
物語は、34年前に静かに遡っていく——。

 

19歳の“私”と“彼”。
ある契約書を交わした2人。
彼らに一体何が起きたのか。

 

“私”と“彼”
衝撃の真実が明かされていく——。

 (転載ここまで)
 
<以下、ネタバレ>
簡単に言うと、とても裕福で知的レベルも高い(大学も飛び級で入るくらいの)「私」と「彼」だったが、友情を超えた愛情を「彼」に抱いている「私」が、「彼」がスリルを求め、自分はニーチェの言う超人だと証明しようと犯罪を犯す手助けをする代わりに、自分の要求も「彼」に聞いてもらう契約書を交わす羽目になり、ついに二人で通りすがりの少年を殺害するに至るお話です。
重いストーリーなのだけれど、私はわりとBL的なものは自分の世界と切り離して観てしまうせいか、8日にマチソワした「モーツァルト!」の方が重かったです。
こちらは割と「綺麗な男性が厨二病しているお話」という浅い理解でふわっと観てしまいました(笑)。
ピアノの音楽がドラマティックで、セット転換が無くても舞台が公演になったり放火する小屋になったり法廷?になったり、拘置所になったり面白かったです。
 
<ここから物語最後までネタバレ>
オープニングは、客席下手の通路から「私」が登場し、舞台に上がるとそこは仮釈放審議の場所で、「私」は囚人服を着ていて、19歳の時に犯した犯罪で34年間服役していることが語られます。
(このご時世で客席降りあるんだと嬉しかった)
「私」役は何度もこの53歳の中年と、19歳の青年を瞬時に行き来して演じ分けないといけなくて、最初こそ囚人服を着ている53歳と、暗転後ジャケット&眼鏡に着替えて19歳になりますが、それ以降は服を変えることも無く、すっと姿勢や声の出し方、表情で観客に切り替わったことがわかるように演じなくてはならず、「私」役の皆さん切り替えがすごいなあと思いました。
特に成河さんはすごかった。本当に老けて見える。
 
そこから「私」が語る、「彼」と「私」との犯罪へ突き進んでしまった顛末が演じられます。
「私」の回想なので、「彼」が何故そんなに弟を憎むのか(父親からの愛を争うのか)深く描かれていないのですが、承認欲求が強くニーチェの超人思想にかぶれてしまった「彼」が、自分の言いなりになる「私」を巻き込んで(お互いがお互いの言うことを聞くという血の契約書まで交わして)、放火、盗みを行い、やがてそれではもうスリルを感じられなくなり、ついに「彼」は憎んでいる弟を殺そうと思い立ちます。
弟は家族じゃないかと「私」が必死に止めたことで、ターゲットを自分たちの小学校に通っている子供に変更するのですが、完全犯罪になるはずが、「私」が犯罪現場に眼鏡を落としてしまったことからどんどん計画が崩れ、「彼」は眼鏡を落したのはお前であって俺じゃない、俺のことは警察に言うな、もう二度と会わないと、「私」を斬り捨てようとし、それに衝撃を受けた「私」は全てを自首、司法取引で主犯が「彼」である証拠も提出、「彼」も逮捕されます。
自分の方が立場が危ない(主犯として絞首刑になる)と知った「彼」は、「私」に泣きついて(&色仕掛けで)司法取引を止めさせ、死にたくないと悪あがきをし、最終的に、裕福な「私」の父親がお金で雇った凄腕の弁護士により二人は死刑を免れ、懲役99年になります。
判決を聞いて、ややほっとした「彼」に「私」は、これで99年間(死ぬまで)僕らはずっと一緒だ、わからなかった?眼鏡はそうなるためにわざと落したのだと言い、自分こそが超人だと勝ち誇ります。衝撃を受ける「彼」。
そして現実では、仮釈放審議委員会はついに仮釈放を認め、自由の身になった「私」は、昔にシャワー室で他の囚人に刺されて死んだ「彼」を懐かしみつつ、幕になります。(幕無い舞台だけど)
 
3ペアでは新ペアが一番設定に年齢が近く、素直に観られました。
「彼」が完璧に厨二病なので、やはり未成年に見えた方が本当は良いんですよね(苦笑)
新ペアが一番ノーマルバージョン(設定どおり)なのではないかと思いました。
一番わかりやすく葛藤している「彼」でもある。(人間味もある)
今回は各ペアにテーマがあったようで、初演ペアは「究極の愛」、成福ペアは「資本主義の病」、新ペアは「生の暴走」とのこと。
確かに新ペアは若くて二人がボタン掛け違って暴走してる感。
一番印象的なシーンは、「私」に今度は自分が要求する番だと体を要求されて、「好きにしろ」とばかりに体を投げ出して舞台上に「彼」が横たわるシーン。綺麗だったなあ。
他のペアだと、たしかに初代ペアは「究極の愛」で、お互いに心の交流、愛がある感じなんですよね。
あと、司法取引を止めさせようと愛撫する「彼」がとってもアダルティ(笑)。
(耳舐めてたよ・・・・)
成福ペアは、逆に、二人に心の交流があるのか?という、お互いが相手の意向を考えず自分の欲求を通してる感じ。
なのでにろさんの「彼」の横たわり方は濡れ場の一つであり、福士さんの「彼」は無機質に横たわる(「私」の存在が「彼」にはどうでもいい?)感じで、山崎さんの「彼」は投げやり感、自分の体はどうでもいいような感じがあって、セクシーでした。
 
初演ペアは、どうしてもアダルティになります(笑)。
ラブシーンが一番ねっとりしていて、見ちゃいけないもののような。
「彼」は厨二という歳じゃないので、あれはドSな性癖ですね。犯罪に向かわなければ、「私」とドSとドMの良いカップルになったことでしょう。
 
成福ペアは、一番「彼」も「私」も歪んでいて重いペアだったかも。そこに愛はあるのか?(無い)、みたいな・・・。(個人の感想です)
だから「資本主義の病」なのだろうか。
 
 
チケットが取りやすくて、さらに推しの舞台が予定されてなくてお財布に余裕があれば、もっと何回か観たかったなあ、スリルミー。
そして推しで再演してくれないかしら。
うちの子、「私」も「彼」もどちらもこなせるし!
 
スリルミー、音楽もいいよね、ということで公式さんのあげてくれた各ペアの歌。
(そのうち消されちゃうのかな?)