★お気楽日記★

アリとキリギリスでは断然キリギリスです。 うさぎとかめなら、確実にうさぎです。 でも跳ねる趣味はありません。

ミュージカル「VIOLET(ヴァイオレット)」@東京芸術劇場 観劇レポ③

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2020年9月4日(金)~6日(日)のみ復活した、ミュージカルVIOLET。

はからずも主人公のヴァイオレットが旅に出たのが1964年9月4日~6日だったので、綺麗にヴァイオレットのバスの旅をなぞる公演日程に。

私は5日(土)マチネの優河さん版ヴァイオレットと、千秋楽の6日(日)唯月ふうかさん版ヴァイオレットを観てきました。

 

 

前回はだらだらと感想を書き連ねましたが、とぼしい記憶をたどって各シーン振り返りたいと思います。(多分シーンの順番とかもう、記憶ごちゃごちゃになってる)(さらに台詞は全てこんな感じのニュアンスだったレベル)

(ネタバレ100%ご注意を)

(ネタバレより記憶が嘘な方が問題かもしれない・・・未見の方はこんな変なレポを読まずに再演を待たれた方がいいかと)

 

 

crearose.hatenablog.com

舞台は客席以外の三方がひな壇になっていて(ところどころに椅子が配置)、中央に井戸の釣瓶が天井から垂れています。

井戸の釣瓶の上の天井には、ドーナツ型の円盤。

この円盤は、ヴァイオレットが伝道師に見せたいと押し花にしていた時計草(パッションフラワー)がモチーフなのかなあと思いました。キリストの受難を表わす花で、「キリストの茨の冠を表わす」という台詞が作中にあったような気がします。2階からだとわからないのですが、1階席から見ると下から見上げられるので、時計草のようなもにょもにょした線が描かれていました。

 

客電が落ちると、わらわらと登場人物が袖から出てきて(ヴァイオレット以外)ひな壇にバラバラと座ります。

正面のスクリーンに、有名なキング牧師の「I have a dream」の演説が映され、黒人兵士のフリックと他にドレッドヘアの女性二人は立ち上がって演説を聴きます。この3人にスポットライトが当たります。

ヴァイオレットの傷がメイクで目に見える形で示されないのと同様、黒人役のキャストも黒塗りされないので、このキング牧師に対する敬意とスポットライトで3人が黒人であると推測する必要があります。

キング牧師の演説が終わると、中央の井戸の釣瓶に少女時代のヴァイオレットが現れ、楽しげに歌いながら井戸を使いますが、そこに舞台上手隅で斧で薪を割っていた父親が「危ない!ヴァイオレット!」と叫び、ヴァイオレットは悲鳴をあげてしゃがみこみます。父親の薪割りの斧の刃が外れてヴァイオレットの顔に当たったという回想場面です。

 

次にキャストたちがバスの停留所を持ってきたり、椅子を持ってきたりして、長距離バス乗り場にセットチェンジします(藤田俊太郎さん、キャストがセット運ぶの好き?)。上手からトランクを持ったヴァイオレットが登場。

スプルースパインの村人?の男性が犬に骨付き肉をやろうと呼びながら現れ、ヴァイオレットに「どこか出かけるのか?」と話しかけます。

内気どころかギザギザハートの子守唄並みに尖ったヴァイオレット嬢、「荷物を持ってチケット握りしめてるんだから出かけるに決まってる」的なことを歌います。しかし「もし私のことをちゃんと見たら出かけるのを止めてもいい」というようなことも歌うのですが、案の定、村人はヴァイオレットと目を合わせず「犬、どこいったのかなー」みたいな感じなので、彼女は「けっ」って感じでバス停に向かいます。

(人が自分をちゃんと見てくれない、というのがヴァイオレットの大きな苦しみのようです)

ハンドルを持った運転手が、ナッシュビル?行きのバスはこちら、チケットをお出しくださいと言い、ヴァイオレットがチケットを差し出すと、ヴァイオレットの傷に気付いた運転手はとてもびっくりします。

(最初はびっくりするほどのひどい傷なのかと思ったけど、特にふうかさん版の印象ではそんなにひどい傷ではないかもだから、単にこの運転手が失礼。←芝居で説明する都合上仕方なしだけど)

乗客たちが2列に椅子を並べて座ることで、バスを表わします。ヴァイオレットは一番前の席です。

そうやってバスの室内が作られている中、運転手に驚かれて腹を立てたヴァイオレットは「あなたの目は細くて鼻は低くて肌はガサガサのくせに。でも髪の毛は良い。輝く髪の毛♪」というような歌を歌います。

そうやってヴァイオレットは周囲の人や映画スターのこのパーツが欲しい、みたいな歌を歌います。ちょっとサイコパスチックで怖い。ヴァイオレット、出会う人、パーツでしか見てないのか?

島田歌穂さん演じる、上品な老婦人は後ろの席だったのですが、隣に黒人兵士のフリックがやってきたので「私、一番前の席でも良いかしら?後ろだと酔ってしまうから」と言い訳をしてヴァイオレットの隣にやってきます。

この老婦人は、ヴァイオレットが閉塞感を感じている南部の価値観そのものを表わすのかもしれません。

ヴァイオレットが大切にしていて旅の友にした「ママの本」(幼い時に亡くなったママが色々日記のような書き込みをしていた、ボルチモアカテキズム(カトリックの教理解説本)という本。今はヴァイオレットが思ったことを書きとめるノートになっていて、この時も「1964年9月4日、神のなんちゃら・・・と旅立ちの感動を綴っていた)を見て、「あらカトリックなの?」と彼女に話しかけますが、彼女の傷に気がつき、(運転手のように失礼に驚きませんが)自分のうちに来る郵便配達の男性も口唇裂だけど良い子だと、ヴァイオレットにはなんの慰めにもならないうっとうしい慰めを言います。

自分は子供が何人、孫が何人いて、このバス旅は旅行ではなく引っ越しで、息子のところに行く(同居する)、孫は汚くてうるさいし、息子の嫁が憎いみたいなヘビーな話を話しかけますが、ヴァイオレットは、彼女の前には少女時代のヴァイオレットもやってきて、マイウェイ(テーマ曲)を歌い、輝く顔を手に入れるため旅に出ることを宣言します。

 

ところで天保十二年のシェイクスピアでも思ったのですが、藤田さんの演出、朗々と歌を歌った後も拍手の時間を取らないですぐにお芝居進行しますね。天保の時は拍手していいのかどうか戸惑いました。VIOLETは観客が拍手したい熱が高く、次の台詞始まってるのに容赦なく拍手されていました(笑)。

 

バスがサービスエリア?で20分休憩となり、(ここでもキャストがバーカウンターになるセットを運んできたりする)老婦人はヴァイオレットと仲良くしたいのか、「あなた何か食べる? 一緒に食べましょう、席を取っておいて。私はトイレ行ってくるから」と勝手に話を決めますが、老婦人が去った後ヴァイオレットはカウンターに行き、バーテンダーにツナサンドを注文しようとします。カウンターにいるのは黒人のフリックと、友人の白人兵士のモンティ、あと黒人女性二人です。

ヴァイオレットの注文を遮ってその若いバーテンダーは、忠告が二つある、ここはチキンサンドしか無いと言いながら「くそニグロが軍服を着たら偉そうにしやがって」と悪態をつきます。くそニグロと言われて黒人女性たちはカウンターを離れ、ちょっと険悪な雰囲気に。ヴァイオレットは「もう一つの忠告は?」と尋ねると「ボックス席(テーブルのこと?)に座るんだな」(カウンターは黒人だらけだから?)と苦々しく言う白人バーテンダー

フリックはいつものことなのか何も言いませんが、代わりにモンティが「ガキがエプロンつけるとバーテンダーみたいに偉そうになる」的な嫌味を言い返します。(台詞忘れちゃったから、そんな感じのニュアンス)

ヴァイオレットは、自分もいつも差別されてきたから、黒人のあなたの気持ちはよくわかるとフリックに同情しますが、「わかるなんて軽々しく言うな」とモンティに釘を刺されます。1年前だったら黒人と同席は許されていなかった(公民権法制定前)と。

兵士の二人がテーブルに陣取りポーカーをしようとしているのを見て、ヴァイオレットは自分が黒人差別主義者じゃないことを示すつもりなのか、椅子をそこに持ち込み、自分もポーカーの仲間に加えてくれと言いだします。二人は驚きますが、ヴァイオレットを加え3人でポーカーを始めます。

(ふうかさんヴァイオレットはティーンのコンプレックスこじらせレベルに見えるからポーカーに加えても良いけど、優河さんヴァイオレットはかなり重いから、よくポーカーに加えたなあ、フリックとモンティ)

トイレから戻ってきた老婦人はヴァイオレットが自分の席を取っていないどころか、黒人兵士らと一緒にポーカーをやっているのに困惑し、一人で違うテーブルに座ります。

少女時代のヴァイオレットと父親が登場、父はヴァイオレットが学校で誰よりも賢いのに(普段も上手いことお父さんのお客さんからお金をちょろまかしている?)算数だけ成績が悪いのをいぶかり、問い正します。少女ヴァイオレットは、算数は黒板に答えを書かされる、すると(前に出ないといけないので)男の子たちが傷をからかったり変な目で見るから嫌だ、というようなことを言います。お父さんは、算数は生きていくのに必要だと、ヴァイオレットに掛けポーカーを教えます。将来男に対しても(相手の心を読んで話を上手く進めるのに)役に立つからと。

少女時代のヴァイオレットがお父さんからポーカーを習いつつ、賭けていくら勝ったと算数の勉強をするシーンと、現在のヴァイオレットが兵士たちとポーカーをするのが並行して描かれる場面。「ポーカーの引きが強いんだ」というような、運が強いぞみたいな歌をお父さんが歌います。ヴァイオレットにぼろ負けするモンティ(と、そこそこ負けた?フリック)。

 

休憩終了でバスに戻り、ヴァイオレットがとてもポーカーが強いので兵士たちも彼女を見直して友達になり、フリックの持ち歩いている水筒の中のお酒を「飲むか?」とヴァイオレットに渡して、ヴァイオレットが躊躇なく口をつけて飲んだりします。どうしてそんなにポーカーが強いのかという話になり、父親に習ったこと、船乗りだった父親もポーカーが強くてそれでお金を稼いで農地など買ったこと、3年前に亡くなってお金を少し残してくれたという身の上話から、ヴァイオレットがどこに行こうとしてバスに乗ってるのかという話題になります。彼女はタルサにいる伝道師に会いに行き、テレビで見た彼が信者の傷を癒すのを見て、自分もこの頬の傷を癒してほしい、美しい顔を手に入れたいと告白します。(父の残してくれたお金では旅費が足りなくてすぐには行けず、一生懸命お金を貯めてやっと旅に出られたと)

テレビで奇跡を起こす伝道師なんてインチキだろうとヴァイオレット以外の登場人物には自明の理なので、二人は本気か?と笑うのですが(笑ってないよ、咳こんでるだけだと言い訳しながら)、ヴァイオレットは真剣に「綺麗になりたい」という夢を語ります。この傷が消えるなら足くらい一生引き摺ることになってもいいし片目が見えなくなってもいいと。(人の綺麗なパーツが欲しいとリストアップする異常さに通じる、異常な美への執念)

そんなヴァイオレットに、黒人だから昇進に天井があるフリックは、「昇進できるならヴァイオレットと顔を取り替えても良い」と軽口を言うと、「私は綺麗になりたいんだから黒い肌になってどうするのよ」と言ってしまうヴァイオレット。それまで和気あいあいとしていた空気が一変します。

ヴァイオレットもすぐに失言に気がつき「肌が黒いのがダメなんじゃなくて私は綺麗になりたいからあなたの顔がダメだってことよ」みたいなフォローにならない言い訳をしますが(客席から笑いが起きるシーン。・・・笑っていいのかちょっと悩んだ)フリックは失望して席を外します。

どうしよう、フリックを傷つけてしまった、さっきまであんなに楽しかったのに、と動揺するヴァイオレット。自分は傷つくプロだから人の気持ちがわかるはずなのに、と。

(その辺りが実は黒人差別についてあまりわかっていないのにわかった気になっているヴァイオレットの残酷さが出ている)

モンティは「まあ、気にするなよ。トイレに行って忘れて帰ってくるさ」とヴァイオレットを慰めます。

後でフリックに「ごめんなさい」と必死に謝るヴァイオレットでしたが、「私も日差しに当たるとすぐ焼けて黒くなるから」とまたまたフォローのつもりがかえってひどい発言をしたりします。

 

(すでに記憶が曖昧になっているのですが、少女時代のヴァイオレットがママの本を持っていて、父親が「どこでその本を見つけたんだ。その本はお前にはまだ早すぎる」「パパの引き出しよ。どうしてママのことを知りたいと思っちゃいけないの? これを書きだした時ママは私の歳だった。なんで私はダメなの?ママみたいに綺麗じゃないから?」という回想シーンと、フリックとモンティがふざけてヴァイオレットからママの本を取り上げて「返してよ!」みたいな場面があったのですが、どの流れだったかもう思い出せないという・・・ひどい記憶力である)

 

バスはナッシュビルに到着、息子の家に行く老婦人はここで降りるのですが、バスを乗り替える(乗り継ぐ?)ヴァイオレットに「今日はうちに泊まらない?息子は大丈夫よ。ほら、あそこにいるわ(と迎えに来た息子に手を振る←実際に誰か登場したわけではなく遠方にいるテイで)」と提案します。しかしヴァイオレットは「なるべく早く目的地に着きたいので」とその申し出を断ります。

老婦人がそうやってヴァイオレットを構うのは、こんな傷がある娘さんだから男性にちやほやされることは無いだろうと思われたヴァイオレットが、怪しい兵士たちと仲良くしているので、きっと騙されるか遊ばれると心配してのことでした。

この行為を親切と取るか、それとも昔は自分もそこそこモテたのに今は歳をとり、若い娘ということで昔の自分より容姿がおとるヴァイオレットが男性と仲良くしているのが気に入らないから邪魔をしてやろうという行為と取るか・・・。(あなたはそういう経験があまり無いからわからないかもしれないけど、私はこれでも昔はそれなりに(モテた)というような台詞あり)

ヴァイオレットが老婦人に(ヴァイオレット的には)絡まれているのを見て、モンティとフリックが老婦人を茶化して怒らせ、追い払います。

そしてヴァイオレットがどんな顔になりたいのかという話題になり、伝道師さまはビジョンをしっかり持つのが重要と言っていたと、トランクに詰めた芸能グラビア雑誌や、憧れの女優の顔のパーツのメモを取り出しながら歌います。(理想のビジュアルを聞いておきながらフリックとモンティは二人ですぐじゃれあってヴァイオレットの話を聞かないので、「ボーイズ!ボーイズ!聞いてなくても聞いてるふりしないと話さないわよ」みたいなことを歌いながら理想を語ります)

というか、傷を無くしてもらう以上に別人のような美女にしてもらおうとしているヴァイオレット。

「そんなに綺麗になるなら俺がそのままハリウッドに付いていってやるよ」とモンティ。「でも脚がもっと○○(女優の名?)みたいじゃないと」とフリック。「なんで?脚は問題ないわよ」と脚には自信があるヴァイオレット。「いや、ここ(大きな胸の形をジェスチャーしながら)がいるだろ?」と二人にからかわれます。

 

多分この後の場面だったと思うのですが、ヴァイオレットは伝道師に会って自分の傷が癒されて無くなる妄想(夢?)を見ます。伝道師がカメラのショーのように撮られながらその映像がスクリーンに写され、少女時代のヴァイオレットが彼に癒される場面がインタビュー映像のように撮られて流れます。

そこにフリックがやってきてヴァイオレットに話しかけると、彼女は「妄想してた」と言って起きて、彼と話をします。

ヴァイオレットが鏡は嫌いだけど、たまに自分の醜さを確認するために見ている、自分がわかっていることだったら人に言われても傷つかないからというような会話をして、フリックが、自分で決めたことに一歩一歩自分の足で歩いていかなくてはならないみたいな会話で歌を歌って、ヴァイオレットがフリックのことを「大人っていう感じ、父に似ている」みたいなファザコンを爆発させていた気がします。

あと、ヴァイオレットがフリックの身の上を聞いて、彼が少年院にいたことを知り、「何をしたの!?」と驚くけれど、フリックは「ただ生まれただけ。自然とそうなるんだ」という会話をしたり(黒人は少年院に入れられやすいor犯罪が身近?)、本当に自分が将校に昇進できると思うかと聞かれたヴァイオレットが、あっさり肯定して「モンティはあなたの言うことを聞くからそれだけで将校の仕事の半分は出来ている」という会話をしたりしたのもここかしら・・・・。(黒人の置かれた状況には疎いヴァイオレット)

フリックのパワフルな歌声もここだったかな。

 

(バスの中のシーンで、ヴァイオレットにフリックが川を見ないのかと話しかけて、なんでこんなしょぼい川を見ないといけないの?という会話があり、多分その川を超えるのが南部のどこかの境界線らしいのと、フリックが自分の故郷の話をして(首まで海に浸かって遊ぶとか)、あなたは故郷が好きじゃないと思ってたみたいな会話をする場面があったのですが、どのつながりだっただろう・・・)

 

バスがメンフィスに着き、フリックとモンティは一緒にホテルをとって夜飲まないか?とヴァイオレットを誘いますが、最初ヴァイオレットは、はとこが近くに住んでいるからそこに泊めてもらうつもりと断ります。しかし二人は「はとこの連絡先知らないだろ?」とそれが嘘だと見破って?、結局3人でホテルに泊まることになります。(明日は朝早く出発するから、たとえ二人が寝ていても、と主張するヴァイオレット)

このホテルの経営者は黒人女性で、裏にフリックを呼び出し、なんであんな子を泊めるんだ、頬の傷が股まで続いていようがしったこっちゃないけど、白人なんか泊めたと知れたらとんでもないことになると文句を言いますが、フリックがチップを出すと、(それを辞退して)仕方ないねと泊めてくれます。

ここでは逆に白人が差別される立場のようです。(なんでモンティはOKなんだろう?)

 

舞台中央に四角いステージ(高くない)が用意され、そこにシーツを広げればベッドに、シーツをどけるとライブハウスの女性シンガーのステージになります。

シーツを敷いたベッドに、疲れたのかヴァイオレットは(夜の街に繰り出す前に)ラジオをつけたまま寝てしまい、部屋にモンティが入ってきてラジオを消します。

起きたヴァイオレットと「どうせ彼氏なんかいない、寂しい女の子だろ」「失礼な。部屋の前に列をなしてたわ」みたいな会話をします。

ヴァイオレット、気が強いと言えば気が強いのですが、そういう返しができる(そもそも見知らぬ男性のところに行ってポーカーに加えてくれと言える)なんて、ひどい傷があって男子にいじめられて男性不信という感じではないなあと。(やはり傷はそこまでひどくないのではないかしら。本人はとっても気になると思うけど、男性が遊びでちょっかいかけるには障害にならないレベル)

男性が列をなしていたという台詞をモンティは強がりの嘘に受け取っていましたが、あとで少女時代のヴァイオレットに悪いちょっかいをかける男の子の回想が出てきたので、もしかしたらヴァイオレットは村で「簡単にやれる女」になっていた可能性もあります。

3人はライブハウス?に繰り出し、強いお酒を飲んだり、モンティはヴァイオレットにいちゃいちゃちょっかいをかけたり、ヴァイオレットはフリックに「あのホテル、部屋に鍵はかからないのね」と暗に鍵はかけてないから夜忍んできてねというモーションをかけたりします。もうぐちゃぐちゃや・・・・。

ライブハウスでは島田歌穂さんが娼婦っぽいケバいお姉さんに老婦人から早変わりしているし、シンガーと二人で「誰でも良いの♪」と歌っているし。

島田歌穂さんの早変わりがここであって、老婦人からケバいシンガーになったあと、すぐにまた老婦人のメイクと服で出てきて、よくメイク変えられたなあとびっくりしました。この老婦人はヴァイオレットの妄想?の中の人のようで、少女時代のヴァイオレットを抱きしめて「赤ちゃんの匂い大好き」みたいなことを言ったり、その少女ヴァイオレットに「彼(モンティ)と踊ったら? 彼、素敵じゃない?」とけしかけたりします。少女ヴァイオレットに「さっき(ナッシュビル)と意見が違う」と言われて「今はバスに乗ってないから」と答えるのですが、どういうことなのでしょうね? バスって戒律か何かなのでしょうか? 閉塞感?

 

さて、シンガーの歌う「誰でも良い」はヴァイオレットの気持ちも同じで(もしくは老婦人にけしかけられて?)、部屋に帰って寝ていると誰かが忍んできた気配を感じ、フリック?と呼びかけたらモンティだったけど、そのままなし崩し的に関係を・・・。(フリック?と呼ばれて、「フリックも呼ぶ?狭くなっちゃうけど」ってモンティ、3Pする気ですか・・・・・5日の優河さん版を二階席から見た時は二階だとほんとベッドシーンが生々しく感じて、客席にいた小学生らしきお子さんとか大丈夫かと心配になりました)

もう少しというところで躊躇してしまったフリックは、モンティがヴァイオレットのところに忍んで行ったことを知り、自室に引き返します。

二人のベッドシーンの時に、少女時代のヴァイオレットの回想で、近所の男の子がヴァイオレットのことをつけてきて、気があるようなふうなので、「あんたはバカなの? 今までさんざひどいあだ名をつけてきて、私がなびくと思ってんの? どうせ私とヤレたらと賭けてるんでしょ? いくら賭けてるの?」と言うと、その男の子は悪びれずに「5ドル。半分こする?」と言います。それを聞いて彼女は「要らないわ。やさしくしてくれればいい」と答えます。

大人ヴァイオレットとモンティのベッドシーンが終わり、モンティが「初めてじゃないんだな」と言ってヴァイオレットが「だから?」みたいになると「いや、そいつは優しくしてくれたのかなあと思って」というモンティ。

そしてヴァイオレットの膝枕で、自分の自慢のバイクの話をしたり(バイクの後ろにヴァイオレットを乗せて走りたい、お前はただ俺にしがみついて大きな声出してりゃいい(情事の匂わせ?)って、ヴァイオレットとの情事がそんなに良かったのか・・・)ベトナム行きに志願して、それを母親に言ったら泣かれてしまった、自慢の息子と思ってくれると思ったのにというような話をします。「きっとそう思ってるわよ」とヴァイオレットに慰められて泣きだすモンティ。モンティの闇はわかりづらいなあ。

 

翌日、基地の街フォートスミスに向かうバスの中で、ヴァイオレットの隣の席にモンティが座り、彼女はモンティにプレゼントされたらしい大きな紙袋を2つ持っていて、さらにまたモンティは何かを買ってこようとします。モンティが席を離れたところにフリックがやってきて、(フォートスミスで兵士は降りるから)手紙を出せるよう二人は住所を交換します。ここまでは良かったのですが、フリックが「モンティがお菓子を買うとか言ってちょくちょく席を外すのは、そうしたらあんたと話をしなくて済むからだ」と言いだして、「何よ、嫉妬してるの? 部屋に鍵は無いって言ったのに来る勇気が無かったくせに」「(モンティの)お下がりはごめんだ」と言い争いになり、住所を返してよと連絡先交換を無かったことにしてしまいます。

そして戻ってきたモンティにフリックは、彼女は今までの遊び相手に出来るような子と違うんだぞと忠告しますが、モンティは、彼女の悲しい瞳を見てるとつい、と言い訳をして、フリックが(そうやって優しくすると)彼女は2倍悲しむことになると更に忠告、すると「でもその時に俺はそこにいないし」と、あっさり無責任なことを言うモンティ。そう言いながらも調子が狂っているのか、フリックに、上手い女性との別れ方のアドバイスをもらって、「また電話するよ」というような紋切り型の別れの挨拶をしますが、そこでまたつい「帰りにいつになっても良いからこのフォートスミスのバス停に寄ってほしい、自分はずっとここで待っているから」というようなことを言ってしまいます。

 

ヴァイオレットはついにタルサに到着、伝道師が翌日のショーのリハーサルをしているところにもぐりこみます。

伝道師は全く人格者ではなく、スタッフの段取りが悪いとか歌に気が入っていないとか文句を言いまくっています。(「ルーラだけが私の為に歌ってくれた」と言ったらシスターのルーラに「私は主の為に歌っているのです」と言い返されたり)

しかしヴァイオレットは傷を癒してもらうチャンスと伝道師に話しかけようとしますが、伝道師には最初スタッフに間違われ、信者だと判明すると、助手のヴァージルに話しておいてくれ、あとは明日のショーに来るようにと言ってヴァイオレットを置き去りに去っていきます。

ヴァイオレットは最初はヴァージルに伝道師さまに時計草の押し花を見せたいとかの話をしますが、彼が「その傷は治りますよ」とか当たり障りないことしか言わないので、伝道師を追いかけて建物の奥に行ってしまい、ヴァージルは「侵入者だ」と慌てて人を呼ぼうとします。

場面は変わって、伝道師がいる教会。やってきたヴァイオレットは伝道師に傷のことを訴えますが、彼は「君の傷はもう癒えている」と言って取り合いません。「私は疲れているんだ」と。ヴァイオレットは伝道師に癒されることを諦めたのか、教会にパワーを得たのか、その場で癒される念を受け取りだし(伝道師に「ちょっと黙って」と言うくらい伝道師がどうでもよくなっている)亡くなった父親がやってきます。

回想シーンで顔を怪我したヴァイオレットを抱いて必死に医者の元に川を歩いて渡る父親が表現されます。

ヴァイオレットは父親に恨み事をぶつけます。あんなところで遊んでいた私が悪いのか? 斧の刃が飛んでしまったって、普通ちゃんと点検するものじゃないのか? 医者に連れて行ったって、古い靴を縫うみたいにぞんざいに傷を縫った藪医者でしょ? そこから5年も放っておいて、もう傷は治らなかった、本当はわざと私の顔に傷をつけて、綺麗になって離れて行かないようにということじゃないの?とまでいいます。傷のことを言いたてるので、父親が俺も傷つかなかったとでも思うのかと反論しますが、「そう、見えない傷で良かったね」とバッサリ切り捨てます。

そして「見てよ」と自分をちゃんと見てほしいという歌を歌います。

 

父親に謝られ、わだかまりも溶けたのか(父親の愛も感じて)「お前を大事にしてくれる男はいるのか?・・・いや、父親に秘密にすることがあってもいいな」とか「パパの目には私はどう見える?」とか親子の思いを交わして、ふとヴァイオレットは自分の傷が癒されたように感じます。

傷が治った!でも触ったり鏡を見たりするとまた元に戻ってしまうといけないから、そっとしておくわと喜ぶヴァイオレット。

 

そして帰途に着きます。

もう自分は綺麗なんだと思い込み、自信満々で運転手に切符を渡し、フォートスミスで下車すると、モンティとフリックが待っていました。

おもちゃの指輪を出してプロポーズするモンティ。必ず寄ってくれるとわかっていたら本物を用意したんだけど、本物は(ベトナム戦争でいったん行く?)○○(サンフランシスコ?どこだったかな)で買おう、と嬉しそうに話しますが、ヴァイオレットは自分は傷がなくなるどころか別人のように美女になっていると思っていて、自分だと気づかれないかもくらいに思っていたので、自分が(ちゃんと)変わってるかどうかモンティに尋ねますが、空気読めないモンティは「? 何も変わらないよ」と言ってしまいます。

自分の容姿が全く変わっていなかったことに衝撃を受けるヴァイオレット。モンティのプロポーズどころじゃない。

こうしてモンティはフラれて、ベトナム戦争に従軍するから何か言ってと頼んで「気をつけてね」というあまり心のこもってないような紋切型の返事をもらいます。

ヴァイオレットはフリックに、容姿が美しくなってなかったのにあんな態度でいて恥ずかしいと嘆きますが、彼はそんなヴァイオレットに「あんたがバスを降りてきた時の姿を見せたかった」と励まします。(つまり傷が無いと自信があって堂々とふるまう彼女が素晴らしかったと)

フリックに励まされて、ヴァイオレットは立ち直り、バスの旅を続けます。

ヴァイオレット、フリック、少女ヴァイオレット、父親、そして乗客たちは前向きな感じに光の中にいますが、一人モンティは後部座席に座り、軍服の帽子を目深にかぶって寝たふり?をしています。(モンティはフラれたからか、それともベトナム戦争で死ぬ運命を示唆しているのか)

 

ということで幕。

 

 

・・・・はい、VIOLETはやはり何回か観ないとならない深いお芝居でした・・・。

私のこの各シーンの振り返り、多分間違った記憶のところがたくさんで、作品に対して冒涜かもしれない・・・・。すみません。

(書きながら自分でも「あれ?どうだっけ?」とわからなくなってるシーン多数で、わからないところを飛ばすと、ヴァイオレットの心理状態がさらにとっちらかってることに)

 

再演されたら、何回か観ます・・・・。